記録にも記憶にも残る名牝 ~ダイワスカーレット~

今週行われる「シンザン記念」に出走した馬の中には、名馬と言われる馬が数多くいます。
そちらに関してはこちらの記事をご覧ください!

そして、このダイワスカーレットもその名馬の中の一頭。今回はこの馬について深く掘り下げていきます!

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生まれ

ダイワスカーレット(栗毛)
2004年5月13日生まれ

父 アグネスタキオン
母 スカーレットブーケ (母父 ノーザンテースト)

馬名の意味:冠名+スカーレット(映画『風と共に去りぬ』のヒロインである「スカーレット・オハラ」

父は幻の三冠馬と言われるアグネスタキオン。半兄にはG1を5勝したダイワメジャーがおり、近親にもヴァーミリアンもいる超良血馬。

デビュー(2006年)

名門といわれる松田国英厩舎に入厩し、2006年11月19日の京都2000mの新馬戦でデビュー。同日のマイルチャンピオンシップでは、半兄のダイワメジャーが勝利し、兄妹同日勝利を達成した。
続く2戦目の中京2歳ステークスも勝利し、デビューから2連勝とした。

3歳(2007年)

年明け初戦は1月のシンザン記念。1番人気に推されるものの、道中かかり気味だったこともあってか2着と初めて敗れる。

次のレースは桜花賞トライアルのチューリップ賞。2歳女王でもあり、後のライバルとなるウオッカとの初対戦であった。レースでは、後方から差してきたウオッカにクビ差差されて2着。
続く本番の桜花賞では、先行から直線早めに抜け出す形でウオッカを凌ぎ切って1着。これにより、ダイワメジャーと兄妹クラシック制覇を成し遂げた。

桜花賞で対決したウオッカが日本ダービーの方に出走することから、オークスでは1番人気ほぼ確実のような状態であったが、感冒(いわゆる風邪)で回避することになり、放牧に出る。

8月10日に帰厩し、復帰初戦にはローズステークスが選ばれ、このレースを0.4秒差で勝利。
続く秋華賞では、64年ぶりの牝馬のダービー馬になったウオッカとの再戦となった。レースは、2番手から3コーナーで先頭を捕らえると、そのまま後続を凌ぎ切って勝利。これにより牝馬2冠を達成した。
次のレースには、マイルチャンピオンシップも視野に入れていたが、最終的にはエリザベス女王杯が選ばれた。前日まで1番人気に推されていたウオッカが出走回避したため、ダイワスカーレットが1番人気に支持された。レースは、スタートから押し出されるように先頭に立つと、最後の直線ではフサイチパンドラやスイープトウショウなどを抑えて1着となった。

翌週にはダイワメジャーがマイルチャンピオンシップを勝利し、兄妹により2週連続G1制覇を達成した。

エリザベス女王杯に勝利した後は有馬記念に向かい、牡馬の古馬との初対戦、関東への初遠征、2500mという長距離への初挑戦、そして鞍上の安藤勝己Jが中山重賞未勝利という、初物づくしの挑戦。競走生活の中でも最低人気の5番人気だった。
また、ここには半兄のダイワメジャーも出走しており、兄妹対決が実現。この時、安藤勝己Jは兄妹両方の主戦を務めていたためどちらに騎乗するのかが注目されたが、デビューから手綱を取り続けていたダイワスカーレットの方に騎乗した。

レースでは、2番手から最後の直線で抜け出しすレースをするが、マツリダゴッホに内をすくわれ1.1/4馬身差の2着と敗れる。

有馬記念の牝馬による連対は、1994年のヒシアマゾン以来13年ぶりであった。

有馬記念こそ敗れてしまったものの、牝馬2冠と、G1全てでウオッカに先着したことから、64年ぶりの牝馬によるダービー制覇を成し遂げたウオッカを押さえて最優秀3歳牝馬に選ばれた。(ちなみに年度代表馬は、海外G1を含むG1を3勝したアドマイヤムーンが選ばれた。)

4歳(2008年)

ドバイワールドカップおよびドバイデューティフリーの選出馬となり、そのステップとしてフェブラリーステークスに登録したものの、2月17日に目の異常(目がいつもより小さく、しょぼしょぼさせている状態。調教中に何らかの異物が入った可能性が高い)が見つかり、19日に改めて受診したところ「まだ小さな傷が残っている」とのことなので、レース回避を発表。ドバイ遠征も白紙となった。

※2月17日の坂路調教中に跳ね上がったウッドチップが右目に入り、創傷性角膜炎と診断され、19日にレース回避が発表された。

ドバイを回避した後、古馬となってからの初戦には産経大阪杯が選ばれた。このレースは非常にメンバーが豪華で、G1を4勝しているメイショウサムソン、前年の皐月賞馬ヴィクトリー、菊花賞馬アサクサキングスなどが出走していたが、ダイワスカーレットは単勝2.0倍の1番人気に推された。

レースは、スタートから先頭に立ってそのまま押し切る競馬。見事単勝2.0倍に応えて見せた。

このレース後はヴィクトリアマイルを目標に調整されていたが、右前脚管骨骨瘤を発症したため回避。
出走はできなかったものの、同年の宝塚記念ではファン投票4位に支持されていた。

第138回 天皇賞秋

前走産経大阪杯からの休養明けはステップレースを使わずに、天皇賞秋に向かうこととなった。当初は出走が微妙な状態だったが「エリザベス女王杯の選択もあるが、去年も勝った限定戦の楽な選択をするよりも、強い馬が集まるレースで強さを証明したい」という理由から、急ピッチの調整で出走を決定した。
前走から半年以上も期間が空いていることや東京コース初挑戦という条件にも関わらず、ウオッカに次ぐ2番人気に支持された。3番人気は、同年にNHKマイルカップと日本ダービーの変則2冠を達成していたディープスカイ。この3頭で単勝1倍台を独占し、4番人気はドリームジャーニーの14.4倍と大きく離れていた。

1番人気 ウオッカ       2.7倍
2番人気 ダイワスカーレット  3.6倍
3番人気 ディープスカイ    2.6倍
4番人気 ドリームジャーニー 14.6倍
5番人気 タスカータソルテ  20.6倍


レースでは、ダイワスカーレット好スタートでハナを奪う。ディープスカイが6番手、ウオッカは直後の7番手につけた。
向正面ではトーセンキャプテンがややプレッシャーをかける形で、1000m通過は58.7秒と速いペース。
第3コーナーから第4コーナーにかけて、ディープスカイとウオッカが進出を図る。

最後の直線、先頭のダイワスカーレット安藤勝己Jが、残り400mほどでチラっと後ろを確認する。その後ろでは馬場の中央からディープスカイと、その外ウオッカが並んで追いかける。
残り200m、内から少し苦しくなったように見えたダイワスカーレット、馬場の真ん中からは新旧ダービー馬のディープスカイとウオッカ。3頭横並び。
そこから一番先に抜け出したのはウオッカだった。とほぼ同時、なんと内からダイワスカーレットも差し返してくる。
大激戦のゴール前、ウオッカとダイワスカーレット、どちらが勝ったのか、肉眼どころかスローリプレイですら判断がつかないほどの接戦だった。

入選後、ウオッカとダイワスカーレットは共にウイニングランを行わずに着順指定エリアに戻り、着順は写真判定にゆだねられた。
通常、写真判定に使われる写真は1枚のみだが、非常に僅差であったため、それぞれ別の角度から撮影された3枚のスリット写真で検証された。

レース終了から13分も経った、15時56分。場内の着順掲示板には「14」「7」の順で表示され、ウオッカ優勝、ダイワスカーレットはハナ差の2着という結果となった。
その差はたったの2cm。ゴール前後の連続写真のうち、ウオッカの鼻先が前に出ていたのはゴールの瞬間のみだったという。

1着 ウオッカ      1:57:2
2着 ダイワスカーレット     ハナ
3着 ディープスカイ       クビ
4着 カンパニー         ハナ
5着 エアシェイディ       クビ

補足

・天皇賞秋の牝馬によるワンツーフィニッシュは、1958年以来50年ぶりだった。
・1:57:2というタイムは、従来のコースレコード、レースレコードを0.8秒も更新するというとんでも記録だった。
・2着のダイワスカーレットは、前半1000mを58.7秒というラップを刻んだにも関わらず、後半1000mも58.5でまとめるという、とてつもないタイムだった。
・ハイペースなレースだったにも関わらず、後方から差してこれた馬はカンパニーただ1頭だったことから、後方を追走するだけでもスタミナを消費してしまうほどのレースだったことが窺える。
・大接戦ドゴーン。

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第53回有馬記念

大激戦の天皇賞秋の次は、有馬記念に出走した。前走戦ったウオッカやディープスカイは休養のため回避していたものの、前年優勝馬のマツリダゴッホや同年のジャパンカップを2連勝で制したスクリーンヒーロー、今回がラストランとなるG1を4勝しているメイショウサムソンなどが出走していた。

1番人気 ダイワスカーレット  2.6倍
2番人気 マツリダゴッホ    4.4倍
3番人気 スクリーンヒーロー  6.4倍
4番人気 メイショウサムソン  8.4倍
5番人気 アルナスライン   18.3倍
6番人気 カワカミプリンセス 19.0倍

レースでは、好スタートを切ったダイワスカーレットがピンク帽の外枠から難なくハナを奪った。2番手にはカワカミプリンセス。その外3番手メイショウサムソン、さらにその外4番手アサクサキングス。外目9番手エアシェイディ。先行すると思われていたマツリダゴッホは外々を周らされる形となって12番手、その内13番手スクリーンヒーロー、14番手には最内ドリームジャーニー、その外アルナアスライン15番手、離れた最後方アドマイヤモナークといった形。
1000m通過タイムは比較的早い59.6秒。
第4コーナーから先頭のダイワスカーレットに競りかけていったメイショウサムソンだったが、早々に失速。
最後の直線では、早めに仕掛けたスクリーンヒーローが単独2番手に進出するも、先頭のダイワスカーレットの脚色は衰えるどころかさらに突き放していく。終わってみれば、0.3秒差の完勝だった。

1着 ダイワスカーレット 2:31:5
2着 アドマイヤモナーク   1.3/4
3着 エアシェイディ       3/4
4着 ドリームジャーニー     ハナ
5着 スクリーンヒーロー     クビ

牝馬による有馬記念の優勝は1971年のトウメイ以来37年ぶり4頭目。(次に牝馬が有馬記念を勝つのは6年後のジェンティルドンナ、さらにその次はそこから6年後のリスグラシューである。)

2008年のJRA賞は、年度代表馬と最優秀4歳以上牝馬部門どちらもウオッカが受賞し、ダイワスカーレットは特別賞についての審議が行われたが規定の人数の推薦が得られなかったため、どの賞も受賞できなかった。

5歳(2009年)

この年もドバイワールドカップを目標に、前年同様フェブラリーステークスをステップレースとすることが予定されていたが、浅屈腱炎を発症してしまったことで回避。
関係者での協議の後、16日はダイワスカーレットの引退が発表され、18日に登録抹消となった。

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ダイワスカーレットのすごさ

ダイワスカーレットはデビューから引退までで12戦して、1度も連対を外さないという抜群の安定感を誇った。12戦連続連対は、シンザン(19戦連続連対)に次ぐ2番目の記録であり、また牝馬では1番の記録である。

ダイワスカーレットの産駒

ダイワスカーレットは2020年1月時点で、全9頭の産駒がいるが、この全てが牝馬である。
(仮に牡馬と牝馬が生まれる確率が50%だとしたら、9頭連続牝馬が生まれる確率は「1/512」である。運命的なものを感じざるを得ませんね!)

ウオッカとのライバル関係

このダイワスカーレットとウオッカはたびたびライバルとして紹介されるが、ダイワスカーレットがウオッカと走ったのは5回であり、そのうちウオッカに先着を許したのは2回、チューリップ賞と天皇賞秋だけであり、その差はクビ差とハナ差。
直接対決の着差と回数だけを見ればダイワスカーレットの方が勝っているように思うが、ウオッカはG1を7勝もしており、獲得賞金もウオッカの方が多い。また、あの大激戦の天皇賞秋の勝者がウオッカであることも大きいのだろう。
こうやってみると、やはりこの2頭は紛れもない”ライバル”なのである。

ウオッカダイワスカーレット
直接対決2勝3勝
G1勝利数7勝4勝
中央獲得賞金13億487万7億8668万
記録①64年ぶりの牝馬ダービー制覇37年ぶりの牝馬有馬記念制覇
記録②G1最多勝タイ12戦連続連対

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